そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『ヒュプノスゲーム』について

 さて、今回紹介する作品はこちら、『ヒュプノスゲーム』です。

 

あらすじ

 夢魔―人の心に取り憑き夢を見せ、その魂を食らう存在。そんな“人類の敵”に対抗するために設立された組織・ヒュプノスに、ひとりのエクソシストが所属している。世界で三人しか例のないレベル4の夢魔と契約し支配する彼―凌ノ井鷹哉は、女性型夢魔“悪食”を相棒に、任務のため奔走する日々を送っていたのだが…。正体不明の異能を持つ謎の少女と邂逅したとき、彼の運命は大きく動き出す! 

 

 人間と人間以外の種がさ。善と悪に分かれて戦う。人間側はその種の力を利用して、彼らと戦う。戦っているうちに彼らにも彼らの事情があることを知り。人間側についていた主人公はある選択を迫られる。仮面ライダーの頃から続く昔ながらの異能バトルの王道です。

 

 いつものように、目次のとおりに喋ります。

 

目次

 

敵の力を借りて戦うということ

 敵の力を借りて戦う。これは古今東西よくあってさ。それの始まりが仮面ライダーとウルトラマンなんだよ。

 例として二作品の簡単なストーリーを話しましょう。

 仮面ライダーは、ある日、一人の男性が醜いバッタの怪人に改造される。主人公はこれ以上怪人を増やさないために改造された力を使って怪人たちと戦う。

 ウルトラマンは怪獣を追って、地球にやってくるその際、激突してしまった隊員の身体を借りて地球に過ごし。怪獣が現れた時はウルトラマンになって戦う。

 これさ、山田玲司のヤングサンデーや岡田斗司夫ゼミで知ったんだけどさ。

 二つとも、もともとはアメリカの擬人化らしいんだよ。

 仮面ライダーはさ。敗戦後にアメリカの科学や文化によって変えられてしまった日本人のメタファー。改造されたってのがじつはアメリカにってことらしい。しかし、その改造された身体でなければ怪人たちとは戦えない。

 ウルトラマンも、そのままアメリカ軍を表している。日本で宇宙からやってくる怪獣を打ち倒すアメリカ。助けられた日本人はたとえ建物がボロボロになったとしてもアメリカさんありがとうと言わなければいけない。

 だいたい宇宙のむこうって、海のむこうだと考えればどんな話かわかるんですよ。

 日本っていうのは昔から敵の力を借りて敵と戦うストーリーラインが異能バトルとしてずっと残ってるんですね。

 実際、アメリカに改造された事実は徐々に薄れていってさ。ジョジョでスタンドって概念ができるんだけどさ。

 あれも遠い国いる因縁の敵が我々から奪った祖先の肉体を通じて与えた力でさ。つまり仮面ライダーの系譜なんだよ。

 ヒュプノスゲームはそのジョジョのスタンドバトルから発展してきた異能バトルの流れを引き継いだ作品です。

 主人公たちは夢魔と戦っています。夢魔はさ。人々の夢の中に入り込んでさ。最初は自分の中に内在化する欲望を具現化した夢を見せてさ。現実と夢の境目をわからなくしてさ。第2フェイズで宿主が夢に依存しはじめたら、今度は悪夢を見せて宿主を苦しめる。最終的に悪夢の中で宿主の精神を侵食してさ。宿主になりかわっちゃうんだよ。

 この夢魔ってさ。いわゆる敗戦後の日本が手に入れた仮初めの豊かさ。いわゆる資本主義なんだよ。

 たとえばさ、僕らは幼い頃からネットなり、外食なり、コンビになり、ショッピングモールだったりのさ。豊かで便利な生活を享受してるじゃん。

 それでさ、浸かり切った後でさ。大人になって働くんだよ。するとさ、たいていがブラックな環境だったり、思い描いていた将来とは違ったりするんだけどさ。それに文句が言えないまま働いたりする。

 それはなぜかと言えば。彼らはお金を手に入れて今まで通りの豊かな暮らしがしたいと考えていてさ。つまり、資本主義に精神を蝕まれている状態なんだよ。

 まどか★マギカとかでも問われてるテーマでさ。夢や希望のために戦い続けてさ。痛みなんて感じないんだって生き方は救いがねぇじゃねぇかってさ。みんな思ってんだよ。

 

 甘やかされてるとか、そういう単純な話じゃないと思うんだよね。この社会はさ。携帯だったり、パソコンだったり。そういった豊かさを享受しないとさ。生活が成り立たない社会ってのがあってさ。そこはさ、工夫してとか。節約って概念だけじゃ上手くいかないんだよ。

 

 そのへん、上手くいっているひとは自分はそんなものに振り回されていないって思ってるからさ、なかなか伝わんないんだけどさ。あるんだよ、そういうのが。

 

 とにかくさ、ヒュプノスゲームの夢魔はそういう存在でさ。だからこそ、それに当然のように浸かり切って生まれたヒロインがさ。あの性格でさ。かなり作中で重要な存在になるわけよ。

 

主人公に迫られる選択

 この作品にはヒロインが出てきてさ。彼女は夢魔が取り付いてもさ。その夢に振り回されない欲のない人物として描かれていてさ。

 昭和的な臭いセリフを吐いて戦う中年の主人公と比べるとかなり異色なんだよ。

 そんなヒロインがさ。主人公が夢魔を倒して助けた後、記憶を消す装置で記憶を消そうとしたら消せなくてさ。

 しょうがないから、主人公の弟子として側においてさ。夢魔と戦うんだけどさ。

 当然のことながらそのヒロインが強くて、カッコいい。わりと主人公の成長や変化に関わっている。

 いつもいってる売れるドラマのストーリーライン。新参者の法則で組織を助け、彼らから信頼される存在になるんですよ。

 

 このヒロインがさ。一巻の終盤で衝撃の事実が暴かれてさ。主人公はどうするのかでおわるんだけどさ。

 

 たぶん、このヒロインがさ。いわゆるさとり系のメタファーなんだよ。

 つまり、アメリカに改造されたって記憶からさ。既に改造された怪人たちから生まれた怪人っていうのがどうなるかと言えばさ。

 資本主義に浸かってることが当たり前になり。逆にそれにとらわれることに煩わしさを感じ、そこから一歩引いた目線で物事を見れる子が生まれちゃってさ。

 だからこそ、彼らに対抗できるスゴいヤツになっちゃったわけなんだよ。

 そう考えるとさ、読んでて面白かったよ。

 

  続きも追って報告します。